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歯周病が口臭の原因に ?

カテゴリ: 歯周病

歯周病が口臭の原因に ?

私は東京医科歯科大学の歯周病専門外来にて、難症例を含む幅広い治療の研鑽を積み、その後は都内歯科医院にてお子さんからご高齢の方まで多くの患者様のお口の健康づくりをサポートしてまいりました。

患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、心から納得していただける治療法をお選びいただけます。神保町ミセ歯科・矯正歯科は、患者様との信頼関係を大切に築きながら、ドクター・スタッフともに一丸となって、あなたの健康を末長く支えてまいります。

「最近、口臭が気になる」「家族から口が臭いと言われた」など、口の臭いに関するお悩みはありませんか?もしかすると、それは歯周病のせいかもしれません。歯周病が進行すると、腐ったタマネギや卵、生ゴミのような悪臭が発生し、口臭が強くなることがあります。
本記事では、歯周病による口臭の特徴や原因、セルフチェック方法、改善・予防法について解説します。また、歯周病以外の口臭の原因についても紹介するので、口臭に悩む方はぜひ参考にしてください。

    歯周病の臭いはどんな臭いなの?

    口臭の原因には、にんにくなど食べ物によるものの他、歯磨き不足、胃など消化器系の問題など様々なことが考えられます。そのため、口臭がするからといって歯周病であると断定はできませんが、次のような特徴があれば、可能性は高いでしょう。

    腐ったタマネギのようなにおい

    歯周病になると、腐って溶けたタマネギのような刺激の強い臭いがすることがあります。これは「メチルメルカプタン」という毒性の強いガスが原因です。このガスは口腔内にいる細菌が食べかすなどを栄養として新陳代謝をおこなう際に発生するものです。歯ぐきの炎症や歯周ポケットの汚れがひどくなり、歯周病が進行するにつれ、臭いが強くなり、マスクをしていても気づかれることもあります。メチルメルカプタン自体が歯周病を進行させる原因にもなるため、早めのケアが大切です。

     

    腐った卵のようなにおい

    卵が腐ったような臭いの原因は「硫化水素」というガスです。口の中が健康でも、唾液が不足した乾燥状態であれば発生することもありますが、歯垢(プラーク)や舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌の表面に付着する白や黄褐色の汚れからも発生します。舌苔が発生する原因は、磨き残しの他、口呼吸やストレス、加齢による口腔内の乾燥、アルコールや喫煙による口内環境の乱れが挙げられます。「メチルメルカプタン」ほど歯周病と強い関連はありませんが、歯周病の原因となる菌は存在すると判断できるため、この臭いがすれば歯周病に罹患している可能性はあるといえます。

     

    生ゴミのようなにおい

    口腔内の細菌の新陳代謝によって「ジメチルサルファイド」というガスも発生します。これは野菜や魚が腐った生ゴミのような臭いで、歯周病が進行するほど強くなります。 ただし、糖尿病や肝硬変、肝がん、尿疾患などの全身疾患が原因で生成される物質でもあり、歯周病が原因であるとは限りません。口臭に占める物質の割合としては「メチルメルカプタン」「硫化水素」で90%と大半であるため、ジメチルサルファイドの臭いは軽微にしか感じないこともあるでしょう。

    歯周病の臭いの原因

    歯周病になると口臭がするのは、歯周病菌が発生させるガスのせいです。また、歯周病が悪化し歯槽膿漏になると、細菌のさらなる増殖によって臭いがきつくなるうえ、血や膿みの悪臭も混ざり、より不快な臭いがします。

    歯周病菌が発生させるガス

    歯周病菌は食べかすや死んでしまった細胞などのタンパク質を分解し、増殖します。その際に「揮発性硫黄化合物」という成分を生成するのですが、これが口臭の元です。具体的には以下の成分が挙げられます。

    • メチルメルカプタン:腐ったタマネギの臭いがするガス。歯周病にもっとも関連する。
    • 硫化水素:腐った卵のような臭いがするガス。主に舌苔から発生する。
    • ジメチルサルファイド:生ゴミのような臭いがするガス。全身疾患によって発生することも。

    歯周病を発症すると、これらのガスが混じり合い、口から不快な臭いがするようになります。また、歯周病が進行するほど、口臭もひどくなります。

    歯周病の進行による歯槽膿漏

    歯周病になると口臭が発生するもう一つの理由が膿みです。歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」が深くなり、そこに細菌が繁殖して炎症を引き起こします。さらに悪化すると歯槽膿漏になり、メチルメルカプタンを含む膿みができます。歯周ポケットで増えた細菌が発生させるガスに、膿みによる悪臭も加わるため、口臭がより強くなってしまうのです。

    歯周病かどうかをセルフチェック!

    口臭がするかどうかは、自分ではなかなかわからないものです。「知らない間に周りの人に迷惑をかけていたら…」と不安に思う方もいるでしょう。ここでは、そんな方のために口臭のセルフチェック方法をご紹介します。

    コップや袋を使ってチェックする

    家にある、コップやビニール袋を使えば、自分で簡単に口臭をチェックできます。具体的な手順は以下のとおりです。

    1. 清潔なコップやビニール袋を用意し、その中に息を吹き込む
    2. すぐにコップはふたを、ビニール袋は口を締めて10秒程度待つ
    3. 中を開ける前に一度深呼吸をして、数秒間呼吸を止め、嗅覚をリセットする
    4. 中を開けて臭いをかいでみる

    この方法でチェックすれば、他人が感じる口臭に近い臭いを確認できます。

    口臭チェッカーを使う

    口臭チェッカーは、臭いの原因である揮発性硫黄化合物がどれくらい含まれるのかを測定できるアイテムです。数値化されることで、自分の口がどれくらい臭うのか客観的にわかります。市販のものは、歯科医院で使用されるものほど精度は高くありませんが、セルフチェックで使うなら十分です。
    使い方は簡単で、センサー部分に息を吹きかけるだけでチェックできます。ドラッグストアや家電量販店など身近なところで購入できるので、使ってみるのもよいでしょう。

    乾いた唾液のにおいをかいでチェックする

    口臭がある人は唾液の臭いも強いものです。乾いた唾液の臭いをかぐ方法でもチェックできます。特別な道具は不要なので、気になったときにすぐに試せます。具体的な手順は以下のとおりです。

    1. 手を洗って清潔にする
    2. 舌の上、または歯と歯ぐきの間を指で触る
    3. 少し待って唾液が乾いたら、臭いをかいでみる

    ただし、口臭がなくても唾液から多少の臭いがする場合もあります。唾液が臭う場合は口臭が強い可能性はありますが、必ずしもあるとはいえないため、他の方法と併せて行うほうがよいでしょう。

    細菌検査をする

    歯科医院で実施してもらえる細菌検査を受けるのもおすすめです。歯周ポケット内の歯垢や唾液を採取し、歯周病菌の種類や数を特殊な顕微鏡を使って調べてもらえます。検査結果は当日にわかり、結果がでるまでにかかる時間は5分程度です。
    ただし、歯周病や虫歯の発見を目的とするクリニックが多いことには注意が必要です。口臭の相談のために訪れても必ず実施してもらえるとは限りません。細菌検査を希望する場合は、事前にホームページで情報を確認したり、直接問い合わせたりしておくのがよいでしょう。

    歯周病の臭いの治し方、予防法

    口臭があれば、人と接する自信がなくなってしまうものです。家族や友人関係、仕事など、あらゆる側面に影響を及ぼす可能性もあります。歯周病を早急に改善するためにも次の方法を試しましょう。

    毎日の歯磨きをしっかりとする

    歯周病による口臭を防ぐには、毎日の歯磨きを丁寧に行うことが何より大切です。歯周病の原因となる歯垢は放置すると細菌が繁殖し、口臭の原因となるガスを発生させます。そのため、朝晩はもちろん、毎食後はできる限り歯を磨く習慣をつけましょう。
    また、歯磨きは、正しい方法で行うことも大切です。柔らかめの歯ブラシを使用し、小刻みに動かしながら一本ずつ丁寧に磨きましょう。さらに歯周ポケットに溜まった歯垢をしっかり落とすことも重要です。歯と歯ぐきの境目に、歯ブラシの毛先を45度の角度で当てて左右に細かく動かします。歯ぐきを傷つけないよう、力を入れすぎないように気をつけて磨いてください。

    歯間ブラシやデンタルフロスで歯垢を除去する

    歯磨きを丁寧に行っても、歯と歯の間には歯垢が残ってしまう場合があります。特に歯周ポケットの奥に入り込んだ歯垢を完全に取り除くことは難しく、口臭の原因になりかねません。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも併用してこれらの歯垢を取り除きましょう。

    歯間ブラシは、特に歯ぐきが下がってしまい、歯と歯の根本部分に広いすき間がある人に適します。デンタルフロスと比べると効率よく歯垢をかき出せるので、短時間でもケアできます。 一方、デンタルフロスは、歯と歯のすき間が狭い部分の汚れを取り除くのに向くアイテムです。歯と歯の間をやさしく滑らせるように通し、挟まった食べかすや歯垢を除去します。
    また、舌の表面に付着する舌苔(ぜったい)も口臭の原因になります。専用の舌ブラシで定期的に優しく磨きましょう。

    定期的に歯のクリーニングを受ける

    歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、毎日歯磨きをしても、セルフケアには限界があります。歯周病による口臭の予防や改善をするには、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが大切です。歯科医院では、専用器具を使って歯石の除去や歯の表面の清掃をしてもらえます。自分ではケアできない部分を徹底的にきれいにしてもらえるので、歯周病の予防や進行抑制、口臭の改善が期待できます。定期検診と併せて受けられるので、3ヵ月に1度程度を目安に受診しましょう。

    歯周病治療を受ける

    歯周病を治療すれば、根本原因を取り除けるため、口臭の改善が期待できます。
    歯周病は進行すると歯ぐきの炎症が悪化し、歯周ポケットが深くなります。そうすると、歯垢が溜まりやすく、細菌が増殖しやすくなり、口臭が発生しやすくなります。さらに悪化すれば歯槽膿漏となり、口臭はよりひどいものになるでしょう。
    初期の歯周病であれば、クリーニングで炎症を抑えられますが、進行してしまった場合は、外科的処置が必要になることもあります。そうならないためにも、口臭が気になり「歯周病かな?」と思ったら、早めの歯科医院の受診をおすすめします。

    その他の口臭の原因

    口臭の原因としては、以下に紹介するように、歯周病以外にもさまざまなことが考えられます。少し注意すれば改善できるケースも多いため、普段から気を付けるようにしましょう。

    歯周病治療を受ける

    詰め物や被せ物が歯に合っていないと、わずかにできたすき間やひび割れた部分に食べかすや細菌が溜まります。そして、それらが腐敗したり増殖したりすれば悪臭が発生するようになります。
    また、最初はぴったり合っていた詰め物や被せ物でも、時間の経過や歯ぎしりや食いしばりなどの癖によって合わなくなる場合もあります。このようなトラブルにいち早く気づくには、定期的に歯科医院で詰め物や被せ物の状態をチェックしてもらうことが大切です

    お手入れが不十分な入れ歯、義歯

    入れ歯や義歯のお手入れが不十分だと、口臭の原因になります。食べかすや歯垢が入れ歯の表面や裏側に付着し、細菌が繁殖することで悪臭が発生してしまうのです。そのため、食後は毎回、入れ歯専用ブラシと洗浄剤を使って洗浄するようにしましょう。
    ただし、硬いブラシや研磨剤入りの歯磨き粉を用いるのはNGです。入れ歯の表面に傷ができ、そこに細菌が入り込んで強い口臭を引き起こす可能性があります。
    また、部分入れ歯の場合は、金具や歯と接する部分に特に汚れが溜まりやすくなります。この部分は特にしっかり洗浄しましょう。

    タバコやコーヒー

    タバコにはニコチンやタールが含まれており、これらの成分が歯や舌に付着すると、独特の臭いがします。さらに、喫煙によって唾液分泌量が減少するため、細菌が繁殖しやすい口腔環境になります。そうなると、歯周病のリスクが高まり、口臭はさらに悪化するでしょう。

    また、コーヒーを飲むと、その細かい粒子が舌の表面に付着し、独特の臭いがします。カフェインによって唾液分泌量が低下し、口腔内が乾燥しやすくなるため、細菌が増殖しやすくなり、口臭の悪化につながるでしょう。さらに、砂糖やミルクを入れると、微粒子が舌に付着しやすくなるだけでなく、口の中で分解される際に、口臭の原因である揮発性硫黄化合物が生成されます。

    口臭を防ぐには、タバコやコーヒーを控えることが理想ですが、すぐにやめられない場合は水をこまめに飲んだり、歯磨きやマウスウォッシュを使用したりして口内を清潔に保つようにしましょう。

    口呼吸をしている

    口を開けたまま呼吸をすると、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少します。唾液には、口腔内の細菌を洗い流し、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物の発生を抑える働きがあります。そのため、口呼吸が癖になり、口の中の乾燥状態が続くと、細菌が繁殖しやすく、口臭が悪化する原因になってしまうのです。
    口呼吸の原因はさまざまで、風邪やアレルギー性鼻炎などによる一時的なものである場合もあれば、歯並びやかみ合わせなど、根本的な治療が必要な症状が原因の場合もあります。すぐにできる改善方法としては、鼻呼吸をするよう意識したり、ドラッグストアなどで販売している紙テープを使用したりする方法が挙げられます。

    歯垢や歯石が溜まっている

    磨き残しによって歯に付着した歯垢が長期間の放置によって石灰化したものが歯石です。歯石ができると、そのざらざらした表面に歯垢や細菌がより付着しやすく、溜まりやすくなります。それでも放置を続けると、やがて歯垢が発酵し悪臭を放つようになります。歯周病になる可能性が高まるだけでなく、進行して歯槽膿漏になれば、膿みによってさらに悪臭が強まるでしょう。

    まとめ

    歯周病による口臭は、特有の強い悪臭を放ち、進行するほど悪化します。その主な原因は、歯周病菌が発生させるガスや、歯周病が悪化して起こる歯槽膿漏による膿みの臭いです。 口臭を改善するには、正しい方法でお口の中をケアする必要があります。毎日の歯磨きに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスを活用し、口腔内をできる限り清潔な状態に保ちましょう。

    ただし、セルフケアには限界があるため、歯科医院で定期的なクリーニングを受けることをおすすめします。歯周病になっている場合は、進行を防げますし、悪化している場合は適切な治療によって確実に改善できます。
    口臭が気になる方は、早めに歯科医院で診察を受け、適切な治療を受けましょう。

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    歯周病を放置するとどうなる?

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    歯周病を放置するとどうなる?

    「最近、歯ぐきが腫れている気がする…」
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    上記のような症状はあるものの、歯医者に行くのがおっくうで放置していませんか?これらの症状は歯周病である可能性が高いです。

    歯周病は初期には痛みもなく、症状も軽いため、つい放置してしまう方も多くいらっしゃいます。
    しかし、進行すると歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす恐れがある疾患です。
    本記事では、歯周病の原因や症状、放置した場合のリスク、予防策について解説します。

      歯周病とは

      歯周病とは
      歯周病とは、歯ぐきや歯を支える骨である歯槽骨(しそうこつ)に炎症が起こり、最終的には歯が抜け落ちるリスクのある疾患です。
      主な原因は歯の表面や歯と歯の間にたまった歯垢(プラーク)です。
      食べかすや細菌の塊である歯垢によって歯ぐきが細菌に感染し、炎症を起こします。
      初期には痛みもなく、自覚症状がほとんどないため気づかないうちに進行してしまうのが特徴です。

      そのまま放置して悪化すると、歯ぐきが腫れたり、出血したりするだけでなく口臭の原因にもなります。それでも治療をしなければ、炎症が歯ぐきの奥まで達して歯周組織の破壊が進み、歯ぐきから血や膿が出て悪臭を放つ他、歯槽骨が破壊されるために歯がグラつき始め、最終的には抜け落ちてしまいます。
      さらに、昨今では歯周病と糖尿病や心疾患、脳梗塞などの全身疾患との関連も指摘されており、放っておくと怖い病気です。

      歯周病の原因は?

      歯周病の原因は?
      歯周病の原因は、歯垢の蓄積です。歯垢には数億もの細菌が潜んでいるといわれており、歯ぐきがこの細菌に感染することで発症します。
      予防には正しい歯磨きが有効ですが、歯垢が固まって歯石になるとセルフケアでは取り除けません。歯石はざらざらした表面をもつために、余計に細菌が付着しやすく、歯ぐきの炎症を引き起こしやすくなります。
      そんな歯垢がたまりやすい要因としては、次のことが挙げられます。
      • 歯磨きが不十分:歯垢が残る
      • 歯磨き時に出血がある:歯ぐきの炎症により少しの刺激で出血する。
      • 口臭が気になる:細菌の増殖により悪臭が発生する。進行して血や膿みの臭いも加わり、より強烈になる。
      • 歯ぐきが下がり、歯が長く見える:歯周病が進行すると、細菌によって歯ぐきが破壊される。
      • 歯がグラグラする:細菌感染が骨にまで達し、溶ける。最悪の場合抜け落ちることもある。
      心当たりのある方は、特に注意が必要です。一度歯医者を受診するようにしましょう。

      歯周病の主な症状

      次のような症状があれば、歯周病が疑われます。早めに歯科医院を受診しましょう。
      1. 歯ぐきに腫れや赤みが見られる:炎症によって赤く腫れる。
      2. 歯並びが悪い:歯磨きが難しく、歯垢がたまりやすい
      3. 糖分を多く含む食べ物を習慣的に食べる:糖分は細菌の増殖を促す
      4. 喫煙やアルコール、カフェインを摂取する習慣がある:唾液分泌量が低下しやすく、口の中が乾燥して、細菌の好む環境になりやすい
      5. 口呼吸をしている:口の中が乾燥しやすい

      歯周病を放置するとどうなる?

      歯周病を放置するとどうなる?
      歯周病は治療をしない限り治りません。放置するとどんどん進行します。
      最初は歯ぐきの赤みや出血が気になる程度だったのが、腫れてブヨブヨになったり、かゆみを感じたりするようになります。

      さらに悪化すると、人と話すのに抵抗を感じるほど口臭が強くなるほか、歯がグラグラし始め、最終的には抜けてしまうこともあります。
      さらに、歯周病を発症すると患部は1箇所だけでなく、炎症が周囲にも広がり、数本の歯を失ってしまう可能性もあります。
      噛み合わせが悪くなり、歯周病や虫歯になるリスクがさらに大きくなるほか他、あごの周りの筋肉のバランスが悪くなるために頭痛や肩こりが起こりやすくなったりする場合もあります。

      進行すると全身疾患にもつながる

      歯周病は進行すると、口の中だけではなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすといわれています。
      具体的には次のようなことが起こりやすいでしょう。
      免疫機能の低下 歯周病が慢性的に続き、常に炎症と戦わねばならないために、免疫機能が低下する。感染症にかかりやすくなるほか、糖尿病などの全身疾患につながる可能性がある。
      腸内環境の悪化 飲食を通じて歯周病菌が腸に届き、腸内の悪玉菌が増える。 腸内環境が悪化した結果、便秘や下痢、肌荒れなどの症状が起こりやすくなる。

      歯周病の進行段階

      歯周病の進行段階
      歯周病は、症状の程度に応じて、大きく3つの段階に分けられます。

      歯肉炎(軽度の歯周病)

      歯周病の初期段階では歯肉炎がみられます。歯肉炎とは、歯ぐきに炎症が起こった状態です。
      主な症状としては、次のようなことが挙げられます。
      • 歯ぐきの赤み、腫れが見られる
      • 歯磨き時の軽い出血がある
      • 起床時に口の中がねばつく
      この段階ではまだ炎症は歯ぐきのみに止まっており、痛みもほとんどありません
      適切に歯磨きをしたり、歯科医院でクリーニングを受けたりすれば、改善が期待できます。
      気になる症状がある場合は、早めに歯科医院でチェックしてもらいましょう。

      歯周炎(中度の歯周病)

      歯周病が進み、中程度の段階になると歯周炎になります。
      歯周炎とは、炎症が歯ぐきだけでなく、骨などの歯を支える組織にまで及んだ状態です。
      歯ぐきの奥まで炎症が達して、歯に密着していた歯ぐきが剥がれて歯周ポケットができ、さらに歯垢がたまります。
      主な症状としては以下のような状態が挙げられます。
      • 歯ぐきの腫れや出血が続く
      • 歯ぐきが下り、歯が長く見える
      • 口臭がある
      • 歯ぐきを押すと痛い
      この段階では、セルフケアでは回復しません
      歯科医院で、歯石の除去や歯周ポケットの清掃を行い、さらなる進行を食い止めることが大切です。
      歯周ポケットとは?
      歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にできるすき間のことを指します。
      健康な状態では浅い溝ですが、歯周病が進行するとこの溝が深くなり、細菌や歯垢がたまりやすくなります。
      放置すると炎症が悪化し、歯を支える骨が破壊される原因にもなります。

      歯周炎(重度の歯周病)

      重度の歯周病になると、歯槽骨の破壊がさらに進み、もはや歯を十分に支えられません。
      また、歯ぐきに溜まった膿みや血が出ることもあり、口臭も強くなります。この段階になれば、次のような症状が見られるでしょう。
      • 歯ぐきが腫れ上がってブヨブヨしている
      • 歯がグラグラして、あまり固くないものでも噛むと痛い
      • 口臭がきつい
      • 自然に歯が抜け落ちる
      このような症状が見られると、歯科医院で本格的な治療をしなくては回復しません。場合によっては抜歯や外科治療が必要になることもあります。 全身疾患に及ぶ可能性もあるため、早めに歯科医院を受診してください。 歯周病治療ページはこちら

      歯周病による全身への影響

      近年の研究により、歯周病は口の中だけでなく、全身疾患につながることがわかってきました。具体的には次のような疾患を引き起こすリスクがあります。
      疾患名 歯周病の影響
      糖尿病 歯周病の炎症によってインスリンの働きが弱まり、高血糖になりやすく糖尿病の発症や悪化につながりやすい。また、糖尿病患者は免疫力が低下しやすく、歯周病が悪化しやすい。
      心臓病・脳卒中 歯周病菌の血管内への侵入によって、血管に炎症が起こりやすくなるため、動脈硬化を進行させやすく、心臓病や脳卒中につながりやすい。
      誤嚥性肺炎 誤嚥によって、気管に歯周病菌が侵入することで肺炎を引き起こすことがある。
      認知症 歯周病菌が、認知症の原因物質の一つであるアミロイドβという物質の生成、蓄積を促すことで認知症リスクが高まる。
      早産・低体重児 歯周病菌が胎盤や子宮に悪影響を及ぼすため、妊娠中に歯周病を患うと、早産や低体重児になりやすい。

      歯周病にならないためには?

      歯周病にならないためには?
      歯周病を予防するには、歯垢を溜めないことです。そのためには、歯や口腔内のケアだけでなく、日常的な生活習慣を改善することも有効といえます。具体的には次のようなことを実践するのがおすすめです。
      • 毎日の歯磨き:可能であれば毎食後歯磨きをする。歯磨きだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも用いる。
      • 定期検診、クリーニングに通う:3ヵ月に1度くらいのペースで歯科を受診。自分では落とせない歯石や歯垢を除去してもらう。
      • 禁煙する:喫煙は歯周病のリスクを大幅に高める。
      • よく噛んで食べる:よく噛むことで唾液分泌量が増える。
      • 口呼吸を改善する:口呼吸をすると口腔内が乾燥しやすくなり、細菌が繁殖しやすくなる。
      • 生活習慣を改善し免疫力を高める:バランスのよい食事や質のよい睡眠、ストレスケアを心がける。

      歯周病かもと思ったら歯科医院に相談しましょう

      「歯ぐきが赤い気がする」「歯磨きをすると血が出る」このような症状があれば、歯周病かもしれません。
      歯周病は、初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、自然に治癒することはなく、放置すれば悪化する一方です。
      「たかが歯周病」と軽く見る方もいらっしゃいますが、最終的には歯が抜け落ちるリスクがあるだけでなく、全身疾患にも及ぶ可能性のある怖い病気でもあります。

      しかし、早めに歯科医院でしかるべき処置をしてもらえば、進行を食い止め、健康な歯ぐきを取り戻せます。
      「大したことないだろう」と放っておかず、少しでも気になる症状があれば、手遅れになる前に歯科医院を受診しましょう。

      当院には、日本歯周病学会の認定を受けた歯科医師が在籍しており、患者さま一人ひとりの歯周病の進行度をしっかりと確認したうえで、症状に合った治療方法をご提案しています。口臭や歯ぐきの腫れ・違和感が気になる方は、どうぞ早めにご相談ください。

      歯周病治療について詳しくはこちら

      まとめ

      歯周病は初期症状が軽いために放置されがちな疾患です。
      しかし、進行すると歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
      歯周病を予防するには、原因となる歯垢を溜めないことです。正しい歯みがきを習慣化し、歯科医院での定期検診の受診を怠らないようにしましょう。

      さらに、生活習慣の改善や禁煙、口腔環境を整えることも効果的です。
      歯周病が疑われるような症状があれば、早めに歯科医院を受診し、ご自身の健康を守りましょう。

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        本記事では、歯のぐらつきと歯周病の関係、さらにその他の可能性について解説します。歯周病から歯を守るには早期発見と適切な対策が大切です。歯のぐらつきが気になる方はぜひ参考にしてください。

        歯がグラグラする原因は歯周病かもしれません

        歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨が炎症を起こし、徐々に破壊されていく病気です。初期段階では目立った症状はありませんが、進行すると歯ぐきが腫れたり、出血したりします。さらに進行してしまうと、炎症は歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨にまで達し、やがて溶かしてしまいます。その結果、歯がぐらつきがみられるようになり、最終的には抜けてしまう可能性もあるのです。

         

        歯のぐらつきは、歯周組織の健康状態を示す重要な指標です。特に、歯槽骨(しそうこつ)の吸収が進むと、支えを失った歯が動揺しやすくなります。初期のぐらつきは治療可能な場合が多いですが、重症化すると元の状態には戻りません。早期に対策を講じることで、歯の喪失を防ぐことが可能です。

        歯周病とは

        歯周病とは、歯を支える歯ぐきや骨に炎症が起きる病気です。主な原因は、歯と歯ぐきの間に溜まった「プラーク」と呼ばれる歯垢です。1mgあたりに約10億個もの細菌がいるといわれており、この細菌が歯ぐきに炎症を起こします。進行すると、歯ぐきが腫れたり、出血したりするだけでなく、歯を支える骨まで溶かしてしまうのです。

         

        また、歯周病は、その進行段階によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分類されます。初期段階の症状が歯肉炎です。歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きをした時に出血したりするなどの症状がみられます。適切にケアをしなければ、歯周炎へと進行し、症状が悪化します。最終的には、歯を支える骨が溶けてぐらつき始め、歯が抜け落ちるリスクが高まります。

         

        歯周病は、細菌が引き起こす慢性的な炎症性疾患であり、免疫応答と強く関連しています。特に P. gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス) などの歯周病原菌が増殖すると、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α など)が活性化し、歯槽骨の破壊が加速します。単なる口腔内の問題ではなく、糖尿病や心血管疾患とも関連があるため、全身の健康維持のためにも歯周病の管理が重要です。

        歯周病の進行度と歯のぐらつきについて

        歯周病は、段階的に進行する慢性炎症性疾患です。初期段階の歯肉炎では比較的軽い症状で済みますが、進行すると歯周炎へと移行し、最終的には歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯のぐらつきや脱落につながります。

         

        また、近年の研究では、歯周病の進行には細菌感染だけでなく、免疫応答や遺伝的要因 も関与していることがわかっています。つまり、単に細菌を除去するだけではなく、炎症をコントロールし、歯周組織の修復を促すアプローチ が必要となります。

         

        ここでは、歯周病の進行段階ごとに、歯のぐらつきをはじめとする具体的な症状とそのメカニズムについて解説します。

        歯肉炎

        歯と歯ぐきの間に溜まった歯垢(プラーク)によって、歯ぐきが炎症を起こした状態です。この段階では、歯を支える骨にはまだ影響が及んでいないため、ぐらつきはありません。歯ぐきに腫れがみられたり、歯磨きをすると出血したりする程度の、比較的軽い症状で済みます。

        ▶ 主な症状:
        • 歯ぐきの腫れ、赤み
        • 歯磨き時の出血(特にフロスを通したときの出血)
        • 歯ぐきの違和感やむず痒さ
        ▶ この段階での治療:

        適切なブラッシングと歯科医院でのスケーリング(歯石除去)を行うことで、健康な状態に戻すことが可能です。

        軽度の歯周炎

        歯肉炎が進行し歯周炎になると、歯を支える骨が少しずつ破壊され始めます。歯のぐらつきもみられ始め、前後に動きます。この状態になると、歯ぐきの腫れがひどくなり、ぶよぶよするようになってきます。

        中度の歯周炎

        歯周炎がさらに進行し、骨が溶けて半分程度になってしまった状態です。この段階になると、歯を支える力が弱まり、歯のぐらつきが顕著になります。前後・左右にぐらぐらするほか、歯ぐきから血や膿が出るようになり、口臭が強まります。歯ぐきが後退するので、歯が長くなったように見えます。

        ▶ 主な症状:
        • 歯ぐきの腫れやぶよぶよ感
        • 歯のぐらつきがわずかに感じられる
        • 口臭の悪化
        ▶ この段階での治療: スケーリング・ルートプレーニング(SRP)を実施し、歯周ポケット内の細菌を徹底的に除去します。

        重度の歯周炎

        歯を支える骨の半分以上が破壊されてしまい、歯のぐらつきがより顕著になり、もはや自力では歯を支えきれません。抜け落ちてしまうケースも多いほか、ものを噛むのも難しくなるでしょう。歯から血や膿も出るので、口臭も強いままです。

        ▶ 主な症状:
        • 歯のぐらつきが明確に感じられる(前後・左右に動く)
        • 歯ぐきから膿が出る
        • 口臭が強くなる
        • 歯が長く見える(歯肉退縮)

        ▶ この段階での治療:

        歯周外科治療が必要になる場合もあり、フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)による歯周ポケットの洗浄や、エムドゲイン(歯周組織再生療法)を用いた再生治療が選択肢 となります。

            歯周病の進行度は、歯周ポケット(歯と歯茎の境にある溝)の深さ や アタッチメントロス(歯と歯ぐきの付着が失われる状態) によって分類されます。初期の 歯肉炎(ポケット3mm以下) は適切なブラッシングで改善可能ですが、軽度〜中度の歯周炎(4〜6mm) では骨吸収が進行し始め、重度歯周炎(7mm以上) では歯が自立できないほどの骨破壊が生じます。ぐらつきを感じる段階では、すでに中等度以上の進行が疑われるため、早急な対応が求められます。

        歯周病で歯がぐらぐらする原因とは

        歯周病が進行すると、歯がぐらぐらするのは、歯を支える骨が炎症によって破壊されてしまうからです。歯は、骨と歯ぐき、歯根膜(しこんまく)とセメント質という歯周組織によって支えられています。

        健康な状態であっても、食べ物を噛むと、歯は多少動くものです。しかし、これらの歯周組織がしっかりと機能し、歯根を固定する役割を果たしていれば、ほとんど動きません。

        歯周病が進行すると、この歯周組織が十分に機能しなくなります。歯ぐきだけでなく、骨にまで炎症が達し、徐々に溶かされてしまうため、歯を支える力が弱まります。その結果、歯がぐらつくようになってしまうのです。

        咬み合わせが悪いと歯のぐらつきが悪化する?

        咬み合わせの悪さは、歯周病による歯のぐらつきを悪化させる可能性があります。

        咬み合わせが正常であれば、噛む力が均等に分散されるため、歯やその周囲の組織に過度な負担はかかりません。しかし、咬み合わせが悪いと、特定の歯に過剰な力がかかり、歯周病で弱った骨や歯ぐきへより負担をかけます。その結果、より歯がぐらつきやすくなったり、歯周病の進行を早めてしまったりする可能性があるのです。

         

        咬み合わせのズレは、咬合性外傷(かみ合わせによるダメージ) を引き起こし、歯周病の進行を加速させます。特に、咬合力が一部の歯に集中すると、その歯の歯根膜や周囲の歯槽骨に過剰なストレスがかかり、ぐらつきが悪化することがあります。

         

        また、咬み合わせのズレが長期間放置されると、歯の移動(ドリフト)や骨の再構築異常が生じ、歯周病治療を行っても安定しにくくなるため、矯正治療や咬合調整を併用することが重要 です。

        当院では、矯正歯科治療にも対応しております。

        歯がぐらぐらするそのほかの原因とは

        歯のぐらつきの原因は、歯周病以外にも考えられます。主な原因としては、次のようなことが挙げられます。

        歯の根本が割れている

        歯の根本が割れているために、ぐらつきが起こっている場合があります。これは「歯根破折」と呼ばれ、歯の根本が縦に割れたり、ヒビが入ったりした状態です。歯根が割れると、歯を支える力が大きく低下し、ぐらつきや痛みを生じることがあります。

        その原因としては、歯ぎしりや食いしばりなどで長期間強い力が歯にかかることが挙げられます。他にも、神経を取り除くなど根管治療を受けるなどして弱った歯にも起こりやすい症状です。

        歯の根本に膿が溜まっている

        虫歯の進行などによって、歯の根の先端に細菌感染が発生すると、膿がたまります。その結果、歯を支える組織が破壊され、歯のぐらつきが起こります。

        被せ物や差し歯が取れかけている

        被せ物や差し歯は、接着剤などで固定されていますが、時間の経過や噛む力の影響で接着力が弱くなる場合があります。その結果、歯が安定せず、ぐらついているように感じることがあります。

        歯ぎしりや食いしばり

        無意識のうちに歯へ強い力をかける習慣です。歯を支える歯周組織や骨への過剰なストレスによって、歯の骨が溶け始め、ぐらつくことがあります。

        ワンポイント!

        歯のぐらつきは歯周病以外にも、外傷、歯根破折、根尖性歯周炎 などの要因が考えられます。特に 歯根破折 は、高齢者や根管治療を受けた歯に多く、破折線(歯に小さなひびが入った状態)に沿って歯が分離していくため、治療が困難なことが多いです。また、根尖性歯周炎(歯の根の先端に膿が溜まる病気) は、虫歯が進行し歯髄壊死に至った場合に発生し、歯周病と似た症状を示します。適切な診断のためには レントゲンやCT検査 が欠かせません。

        まとめ

        歯がぐらぐらするのは、歯周病が原因かもしれません。歯周病は進行性の疾患で、放置すると歯を失うリスクが高まります。初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診と早期治療が重要です。歯のぐらつきや違和感を感じたら、早めに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。大切な歯を守るため、ぜひ歯科医の力を借りてください。

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        歯周病になりやすい人

        私は東京医科歯科大学の歯周病専門外来にて、難症例を含む幅広い治療の研鑽を積み、その後は都内歯科医院にてお子さんからご高齢の方まで多くの患者様のお口の健康づくりをサポートしてまいりました。

        患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、心から納得していただける治療法をお選びいただけます。神保町ミセ歯科・矯正歯科は、患者様との信頼関係を大切に築きながら、ドクター・スタッフともに一丸となって、あなたの健康を末長く支えてまいります。

        歯周病は、誰もが罹患する可能性のあるお口のトラブルです。「大したことはないだろう」と思う方も多いかもしれませんが、放っておくと、糖尿病や心筋梗塞などを引き起こすリスクもあります。 もちろん、適切にケアをすれば十分防げる疾患でもあります。お口はもちろん、全身の健康を守るためにも、正しい予防法を知り、実践しましょう。

           

          この記事では、歯周病の基本知識から、特に罹患するリスクが高い人の特徴、さらには予防策や専門医が推奨する正しい歯磨き方法までを詳しく紹介します。

          ご自身の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。

          歯周病とは

          歯周病は、歯ぐき(歯肉)や歯の骨(歯槽骨・しそうこつ)などの歯を支える周辺組織が炎症を起こす病気です。

          初期段階では自覚症状がほとんどないため、知らないうちに悪化することがあります。早期発見のためにも定期的に歯科検診を受診することがとても大切です。

          また、適切にケアをすれば予防できる疾患でもあるため、正しい歯磨き方法やケア方法を知っておきましょう。

          歯周病の症状と原因

          歯周病になると、その初期には歯ぐきに次のような症状がみられます。

          • 赤み
          • 腫れ
          • 出血

          さらに悪化すると、口臭がするほか、歯の骨が溶け、最悪の場合、歯が抜けてしまう可能性もあります。

           

          歯周病の原因は、プラークです。これは、歯の表面や歯と歯の間に付着している細菌の塊をいいます。口腔内のケアが十分に行き届いていないために、細菌が増殖し、形成されます。

           

          また、歯周病は日本人が歯を失う原因として、第1位に挙げられる病気です。高齢になるほどそのリスクが高まるため、注意が必要です。

          歯周病になりやすい人の特徴

          次の特徴がある方は歯周病になりやすいため、特に注意しましょう。

          正しい歯磨きができていない人

          正しく歯磨きができないと、歯や歯と歯ぐきの間にプラークが溜まりやすく、細菌が増殖しやすい状態になります。炎症が起こり、歯周病になる可能性が高いといえます。

          また、プラークを放置すると、石灰化して歯石になります。さらに多くの細菌を集めて歯肉の炎症を促進し、歯周病はさらに進行してしまうのです。

          甘いお菓子をよく食べる人

          虫歯菌は糖分をエサにして増殖するため、甘いお菓子を食べた後の口腔内は、プラークが形成されやすい状態にあります。細菌の増殖に適した環境であるため、歯周病を発症するリスクは高いといえます。

          また、甘いお菓子は粘着性があるものも多いものです。歯の表面に付くとなかなか取れにくいため、細菌が増殖しやすい環境が長時間続くことになってしまいます。そのため、甘いものをよく食べる人は、歯周病になりやすいのです。

          歯並びが良くない人

          歯並びや咬み合わせがよくないと、凹凸があるために隅々までブラッシングができず、プラークが蓄積しやすくなります。また、食べかすが歯間に挟まりやすいことも、プラークができやすい原因の一つです。

          細菌が繁殖しやすい環境であるため、正常な歯並びの人よりも歯周病のリスクが高いといえます。

          妊娠中の人

          女性は妊娠すると、「プロゲステロン」と「エストロゲン」という2つのホルモンの分泌が増えます。これらのホルモンは、口腔内にいる一部の細菌の栄養源にもなるため、細菌が増殖しやすくなってしまいます。

          さらに、妊娠中は唾液の分泌量も減るものです。そのうえ、つわりがひどいために、歯ブラシを口にすることすら難しい方もいます。通常よりも口腔内の環境が悪化しやすいため、歯周病や虫歯になる方も多いのです。

          糖尿病に罹患している人

          糖尿病に罹患した人は、血糖値だけでなく、唾液に含まれる糖分の濃度も高いものです。さらに、唾液の分泌量が少ないため、プラークが形成されやすい傾向があります。そのため、健康な人より歯周病になるリスクも高いのです。

          年齢別!歯周病罹患率

          年齢ごとの歯周病の罹患率は次のとおりです。

          年齢 歯周病罹患率
          15〜24歳 20%
          25〜34歳 30%
          35〜44歳 40%
          45〜54歳 50%
          55歳以上 55〜60%

          年齢が高くなるにつれ、その罹患率は高まることがわかります。特に45歳以上になると、半数の方が発症します。予防のためにも、30代後半頃から、歯医者でそのリスクを調べてもらい、ケアをしっかりおこなうのが望ましいところです。

          意外と多い!実は歯周病リスクを高める日常の習慣

          次のような習慣がある方は、歯周病になるリスクがより高いといえます。予防のためにもできる限り改善しましょう。

          タバコをよく吸う人

          喫煙者は歯周病にかかりやすいだけでなく、重症化しやすく、治りにくいため、特に注意が必要です。タバコを1日10本以上すうと、歯周病にかかるリスクは5.4倍にもなるといわれています。

          その原因は、タバコに含まれる有害物質が、口内の細菌バランスを崩し、プラークの形成を促進するからです。

          また、血管の収縮によって血流が悪化するため、酸素や栄養素の供給が減少し、自然な治癒力が低下します。その結果、細菌感染への抵抗力も弱まってしまい、歯周病を発症してしまうのです。しかし、血流悪化のために出血やはれが起こりにくいため、初期症状が見られず、発見は遅れてしまいます。

          免疫力も低下するため、治療をしても治りにくく、手術後の回復も遅れます。

          歯ぎしりや食いしばりがひどい人

          歯ぎしりや食いしばりがひどいと、歯周病の発症だけでなく、その進行も速めます。

          歯ぐきや骨に長時間、強い力が加わるために、歯周組織がダメージを受けて炎症を起こしやすく、歯周病の発症につながってしまうのです。さらに、強い圧力によって、歯ぐきの腫れや出血、歯を支える骨(歯槽骨)の破壊も進みやすく、歯周病が進行しやすくもあります。

          口呼吸が癖になっている人

          常に口呼吸をしている人も注意が必要です。口呼吸が常態化すると、唾液の分泌量が減るために、口腔内が乾燥しやすくなります。唾液には、口の中の汚れを洗い流すほか、酸を中和したり、細菌の増殖を抑えたりする役割がありますが、乾燥した状態では、その効果を得られません。口の中の健康が守られず、歯周病を発症してしまうリスクが高いのです。

          歯周病にならないための予防法

          歯周病を予防するには、次のことを実践するのが有効です。

          定期的に歯科クリニックで検診を受ける

          歯科クリニックでの定期検診の受診は、歯周病の予防に大変効果的です。

          検診だけでなく、口腔内の状態に合わせたブラッシングの指導を受けたり、歯磨き粉の選び方、フロスや歯間ブラシの使用方法を教えてもらったりもできます。同時にクリーニングを受ければ、プラークや歯石の除去など普段のブラッシングでは難しいケアもしてもらえるので、歯周病のリスクをより低減できます。

           

          万が一、歯周病を発症していても、適切な治療を速やかに開始すれば、重症化はしません。

          歯周病やそのリスクの早期発見によって、ご自身の負担を大きく減らせるのです。

          正しい歯磨き習慣を身につける

          歯周病を引き起こす細菌は、歯垢の中にいます。そのため、食後は正しい方法で歯磨きをし、できる限り口の中に歯垢を残さないようにすることが大切です。

           

          特に、ブラッシングの際には、歯と歯ぐきの両方を磨くことを意識してください。歯磨きの主な目的には、以下の二つが挙げられるからです。

          • 歯の表面に付いた汚れや歯と歯の間にある歯垢を落とすこと
          • 歯ぐきをマッサージし、血行を促進して、歯肉炎を改善すること

          このように歯と歯ぐきでは、ブラッシングの目的が違うため、次のようにアプローチを変えることが大切です。

          ブラッシングする部位 ポイント
          歯、歯間

          ・1日2回以上は磨く

          ・歯ブラシの他にも、フロスを1日1回、

          ワンタクトブラシを1日1回は使うのが望ましい

          歯茎

          ・ゴシゴシと強くこすらない

          ・歯と歯ぐきの間に歯ブラシを入れて、そっとマッサージするイメージで

          専門医がお勧めする歯ブラシ・歯磨き粉の選び方

          歯ブラシについては、ヘッド部分が小さいものを推奨します。口腔内では、ブラシを動かそうとしても、頬の圧力があったり、あごの骨があったりするために、どうしてもその動きが制限されてしまうものです。ブラシが届かず磨きにい箇所も生じます。

          できる限り細かな部分まで磨くためにも、ヘッドが小さいものを使うのがおすすめです。歯ブラシが届きやすく、様々な角度から当てることもできます。できれば柄の部分も薄いものを選べば、口の中でより動かしやすくなります。

            また、自分でキレイに磨けない人は電動歯ブラシを使うのもよいでしょう。  

          さらに、歯磨き後に洗口液を使用するのもおすすめです。ただし、日本のメーカーが製造しているものは、洗浄成分が薄いものが多いため、「リステリン」や「コンクール」など海外メーカーの製品がおすすめです。日本のメーカーの先口液でもやらないよりは、やった方がよいので、お家にある場合はぜひ使用してください。

           

          特に歯磨きをしすぎて歯茎を痛めている人は、殺菌効果が期待できるため、使用することをおすすめします。

          生活習慣を整える

          歯周病を予防するには、免疫力を向上させることも大切です。免疫力が低下すると、細菌に対する抵抗力が弱まるため、歯周病の発症や悪化をしやすくなります。

          免疫力を向上させるためにも、以下のことを意識しましょう。

          • 栄養バランスを考えた食事を摂る
          • よくかんで食べる
          • アルコールは適度に摂取する
          • 禁煙する
          • 質のよい睡眠を十分にとる
          • 適度に運動をする
          • ストレスを軽減した生活を心がける

          口の中の乾燥を防ぐ

          唾液には、食べかすを洗い流し、酸を中和したり、細菌の増殖を抑える役割があります。口の中が乾燥し、唾液が少なくなると、細菌が増殖しやすく歯周病になるリスクが高まります。唾液がねばねばした状態になっていれば、口の中が乾燥している証拠です。

          次の方法を実践し、改善を試みましょう。

          • こまめにうがいをする
          • あめやガムを食べる
          • 食事はよくかんで食べる
          • 保湿ジェルや保湿スプレーを使う
          • マウスウォッシュを使う
          • 丁寧に歯磨きをする

          これらの方法をためしても、なかなか改善せず、気になる場合は、歯科医師へ相談してください。保湿剤や唾液分泌促進薬などを処方してもらうことで、よくなる可能性があります。

          適切な噛み合わせを維持する

          噛み合わせが悪いと、歯周病の発症や悪化のリスクが高まります。歯や歯ぐきに過剰なストレスがかかるために、歯を支える組織が損傷しやすくなるためです。正しい噛み合わせを維持することは、歯周病予防のために非常に重要です。

           

          もし、噛み合わせの問題が疑われる場合は歯科医師へ相談してください。口腔内の状態を適切に評価のうえ、必要に応じて矯正治療を提案されるかもしれません。歯を適切な位置に調整し、噛み合わせを改善することで、長期的にお口の健康を守れます。矯正の提案をされた場合は、医師と相談しながらよく検討することをおすすめします。

          専門医が推奨する!正しい歯磨き方法

          歯周病を予防するには、正しく歯磨きをすることが大切です。次のようにブラッシングしましょう。

          1. 歯と歯ぐきの間に、歯ブラシを45度の角度であてる
          2. 一度に磨く歯は1〜2本。軽い力で歯ブラシを20回ほど細かく動かす
          3. 同様に隣の歯を磨く
          4. 前歯の裏は1本ずつ歯ブラシを縦に当てて磨く

          歯磨きは可能であれば、毎食後に行いたいところです。1回あたりの時間は最低でも3分、できれば5分行いましょう。難しい場合は、寝る前の歯磨きを特に丁寧に行うようにしてください。

          当院の歯科検診の特徴

          体的な数値の提示によって、患者さんに、どれくらいきちんと磨けているのかを実感してもらい、改善意識を高めてもらうという狙いがあります。さらに、鏡をお見せしながら、歯磨き方法の指導も行うので、具体的に改めるべき点もわかります。

          口腔内の状態が良好ならその状態の維持が、問題があるなら次回の検診までの改善ができるようお伝えさせて頂きます。

          また、当院には、日本歯周病学会認定医が在籍しています。一般的な歯周病の予防や改善はもちろん、重度の歯周病の治療にも対応しているので、歯周病で悩まれている方はもちろん、気になることがある方は、ぜひ一度ご来院ください。

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          日付:  カテゴリ:歯周病

          歯周病とは

          私は東京医科歯科大学の歯周病専門外来にて、難症例を含む幅広い治療の研鑽を積み、その後は都内歯科医院にてお子さんからご高齢の方まで多くの患者様のお口の健康づくりをサポートしてまいりました。

          患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、心から納得していただける治療法をお選びいただけます。神保町ミセ歯科・矯正歯科は、患者様との信頼関係を大切に築きながら、ドクター・スタッフともに一丸となって、あなたの健康を末長く支えてまいります。

          歯周病は、大人の約8割がかかるとされる一般的な歯科疾患です。「たかが歯の病気」と甘くみるのは禁物で、全身の健康にも影響を及ぼす可能性がある恐ろしい疾患でもあります。歯を失う原因になるだけでなく、心疾患や糖尿病などの全身疾患とも関連があるとされているのです。 本記事では、歯周病の基礎知識から症状、進行過程、予防法、そして検査方法について解説します。また、日々のケアや専門的な治療の重要性、歯周病と向き合うための実用的な情報についても紹介します。

             

            歯周病とは

            歯周病を「たかが口の中のトラブルでしょ?」「放っておいても大したことにならないよ」などと甘く考えている方はいませんか? 歯周病は多くの方がかかる疾患です。確かにお口のトラブルの一つではありますが、本当は怖い疾患であり、全身のさまざまな疾患の原因となる可能性があります。 まずは歯周病とはどんな病気なのかについて理解しておきましょう。

            約8割の人がかかっている歯周病

            歯周病は、40歳以上の人のうち約8割がかかっているといわれる非常に一般的な疾患です。歯を支える歯ぐきや歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯の骨などに炎症が起こり、最終的には歯を失う可能性もあります。   歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」の2つに大きく分けられ、歯肉炎は歯ぐきだけに起こる炎症、歯周炎は炎症が歯ぐきだけに止まらず、歯の骨や組織にまで及ぶ状態をいいます。 初期段階では自覚症状があまりないため、気づかないうちに進行してしまうケースが多い疾患です。   「歯周病は高齢者の病気」と思われがちですが、若年層でも歯周ポケットが深くなっているケースが増えています。 特に、歯並びの悪さ、矯正治療後のケア不足、過剰なストレス などが若い世代の歯周病リスクを高める要因とされています。

            歯周病は、全身に影響が及ぶ可能性がある!?

            歯周病は、口腔内だけにとどまらず、全身の健康にも大きな影響を与える可能性があります。近年の研究では、歯周病が全身疾患と深く関わっていることが明らかになってきました。健康寿命を延ばすためにも、日々のケアや定期的な歯科検診を通じて、歯周病を早期に予防・治療することが大切です。   歯周病は 「口腔感染症」 の一種ですが、近年の研究では 動脈硬化の進行インスリン抵抗性の増加 など、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがわかっています。特に糖尿病患者は歯周病の 重症化リスクが高まると言われているため、歯科治療と全身管理を並行して行うことが推奨されます。

            歯周病が関連するとされる主な疾患

            歯周病が関係するといわれている主な疾患は以下のとおりです。
            疾患名 歯周病との関連
            心臓病(感染性心内膜炎、狭心症、心筋梗塞など) 歯周病菌が血管に入り込み、心臓の血管にも入り込むことで動脈硬化や血栓の形成を促進する
            脳卒中 血管の内壁に歯周病菌が付着し、血栓を形成しやすくなる。
            糖尿病 歯周病の炎症がインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値のコントロールを難しくする
            早産・低体重児出産 炎症性物質が血流を介して胎児に影響を与え、早産や低体重児出産のリスクを高める
            誤嚥性肺炎 歯周病菌が唾液とともに誤って肺に入ることで、肺炎を引き起こすリスクが高まる
            ワンポイント!

            近年の疫学研究では、歯周病が アルツハイマー病の発症リスクを高める可能性があることが指摘されています。歯周病菌が脳に侵入し、アミロイドβタンパクの蓄積を促進する ことで、神経変性を加速させると考えられています。単なる歯ぐきの病気ではなく、認知機能の低下とも関連があることを意識し、口腔ケアを怠らないようにしましょう。 文献:Chang-Kai Chen C-K et al.: Association between chronic periodontitis and the risk of Alzheimer’s disease: a retrospective, population-based, matched-cohort study. Alzheimers Res Ther 8;9(1):56, 2017.

            歯周病になる原因とは

            歯周病は口の中に住む細菌が原因で起こります。特に、主な原因となるのが歯の表面にたまるプラーク(歯垢)です。このプラークというのは、1mgあたり約10億個もの細菌がいるといわれる細菌の塊です。ブラッシングを充分にできていなかったり、糖分を多量に摂取したりして適切に除去されないと、ネバネバした物質を作り、歯の表面に付着します。そうなると、簡単には除去できません。増殖した結果、歯ぐきに炎症が起こり、歯周病へと進行してしまうのです。   歯周病の原因となるプラークは、単なる細菌の集合体ではなく「バイオフィルム」と呼ばれる強固な構造を形成 しています。このバイオフィルムは歯磨きだけでは完全に除去できず、定期的な歯科医によるクリーニングが不可欠です。

            歯周病になりやすい状態

            歯周病は生活習慣や体調が影響する可能性があります。特に以下のような要因があれば、歯周病になるリスクは高まるでしょう。
            • 喫煙
            • ストレス
            • 不規則な食生活
            • 糖尿病
            • ホルモンバランスの変化
            • 詰め物や被せ物が合っていないなど、不適切な歯科治療
            • 不十分な口腔ケア
            • 口呼吸
            これらの状態に当てはまる場合は、日頃のケアを見直し、必要に応じて歯科医の診察を受けることが大切です。

            歯周病の症状とは

            歯周病は、その進行段階によってさまざまな症状が現れます。初期の段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことも多くあります。特徴的なサインを見逃さず、「あれ?」と思うことがあれば、早めに歯科医の診察を受けるのが望ましいところです。   以下に、歯周病の主な症状を段階ごとに説明します。
            段階 症状
            初期

            ・歯ぐきの腫れや赤み

            ・歯磨き時の出血

            中期

            ・口臭がする

            ・歯ぐきが下がる

            ・歯のぐらつき

            重度

            ・歯と歯ぐきの間からうみが出る

            ・噛むと痛い、噛めない

            症状が進むほど大変な治療が必要になり、歯を失うリスクも高まります。定期的な歯科検診と日頃の口腔ケアで、これらの症状を見逃さないことが大切です。

            歯周病の進行過程

            歯周病は段階的に進行する疾患です。最初は歯肉炎を発症し、歯周炎歯槽膿漏(しそうのうろう)と進んでいきます。歯周病の進行過程で現れる各疾患について解説します。

            歯肉炎

            歯周病の最初の段階です。歯ぐきだけに炎症が起こります。自覚症状がほとんどないため、なかなか気づきにくくはありますが、定期的に歯科検診を受けるなどして早期発見を心がけたいところです。 また、歯ぐきの腫れや赤み、歯磨き時の出血といった症状があれば、歯肉炎である可能性が高いといえます。気になる症状が見られた場合は、早めに歯科医へ相談することをおすすめします。

            歯周炎

            歯肉炎が悪化すると起こる疾患です。歯ぐきだけでなく歯を支える骨や歯周組織にも影響が及びます。炎症が歯ぐきの内部にまで広がり、進行するに従い、歯周ポケットが深くなっていきます。歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見えるようにもなるでしょう。また、プラークや膿が原因で、口臭が強くなることもあります。

            歯周炎・歯槽膿漏(重度の歯周病)

            歯周炎がさらに進行すると、歯槽膿漏と呼ばれる状態に至ります。これは歯周病の中でも最も深刻な段階です。この状態では、歯を支える骨が大幅に失われ、歯がぐらつき始めます。最終的には歯が抜け落ちる可能性もあるでしょう。噛む力が弱くなり、食事がしにくくなることもあります。

            歯周病の予防法とは

            歯周病は適切な口腔ケアと定期的な歯科受診によって予防できる疾患です。初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することが多いため、日々のケアと専門的なメンテナンスの両方が重要となります。ここでは、歯周病予防のために実践すべき具体的な方法について詳しく解説します。

            プラークコントロール

            プラーク(歯垢)とは、細菌が集合して形成される「バイオフィルム」と呼ばれる粘着性の強い膜状の物質 です。このバイオフィルムは、歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)や歯間部にも蓄積し、放置すると歯ぐきの炎症を引き起こし、歯周病へと進行します。   バイオフィルムは通常のうがいでは除去できず、歯ブラシだけでの清掃では約60%程度のプラークしか取り除けない とされています。そのため、より効果的なプラークコントロールを行うには、以下の方法を組み合わせることが重要です。  

            ① 正しいブラッシングの実践

            1. 歯と歯ぐきの間に、歯ブラシを45度の角度であてる
            2. 一度に磨く歯は1〜2本。軽い力で歯ブラシを20回ほど細かく動かす
            3. 同様に隣の歯を磨く
            4. 前歯の裏は1本ずつ歯ブラシを縦に当てて磨く
             

            ② デンタルフロスや歯間ブラシの使用

            歯と歯の間に蓄積したプラークは歯ブラシだけでは除去しにくいため、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを併用することが必須 です。特に、歯周ポケットが深くなっている場合は、サイズの合った歯間ブラシを使用することで効果的に清掃ができます。  

            ③ 抗菌性の洗口液の活用

            クロルヘキシジンやリステリンなどの抗菌作用を持つ洗口液は、プラークの再形成を抑制する働き があります。特に、歯周病のリスクが高い人や矯正中の方には、補助的なケアとして推奨されます。  

            ④ 唾液の分泌を促す習慣

            唾液には自然な自浄作用があり、口腔内の細菌の増殖を抑え、pHバランスを調整する働き があります。特に、ドライマウス(口腔乾燥症)に悩む人は、水分補給やよく噛んで食べる習慣を身につけることが重要 です。 ※洗口液はあくまで補助的な役割なので、歯ブラシの代わりにならないことに注意しましょう。歯磨きしすぎて歯茎を痛めてる人におすすめします。

            スケーリング・ルートプレーニング

            歯科医院で受けられる専門的なクリーニング は、セルフケアでは取り除けない歯石や歯周ポケット内のプラークを除去する ため、歯周病予防に欠かせません。特に、一度固まってしまった歯石は歯ブラシでは除去できないため、定期的なプロフェッショナルケアが必要 です。  

            ① スケーリング(歯石除去)

            スケーリングとは、超音波スケーラーや手用スケーラーを使い、歯の表面や歯周ポケット内の歯石を除去する処置 です。  
            • 超音波スケーラー(振動で歯石を粉砕)
            • 手用スケーラー(細かい部分の歯石を除去)
              歯石はプラークが石灰化したもので、細菌の温床となるため、歯周病を悪化させる原因 になります。特に、歯ぐきの下に付着する「歯周ポケット内の歯石(サブジンジバル歯石)」は、歯周炎を引き起こす ため、歯科医院での除去が不可欠です。  

            ② ルートプレーニング(歯根面の滑沢化)

            ルートプレーニングとは、スケーリング後に歯の根の表面を滑らかにする処置 です。この処置を行うことで、以下のような効果が得られます。  
            • 歯周ポケットの奥に細菌が再付着しにくくなる
            • 炎症を抑え、歯ぐきが引き締まる
            • 歯周病の進行を抑制し、歯を支える組織を保護する

            歯周病の検査

            歯周病の早期発見のためにも、次のような検査がよく実施されます。
            歯周ポケットの測定(プロービング検査) プローブという器具を歯と歯ぐきの間に差し込んで、深さを測定する
            歯の動揺度の検査 歯を軽く押してぐらつきがあるか確認する
            プラーク付着率の検査 染色液を使って歯の表面に残ったプラークを確認する
            レントゲン検査 歯と歯を支える骨の様子ををレントゲンで撮影して確認する

            当院の歯科検診の特徴

            当院の歯科検診では、歯周病の検査の一環として、磨き残しの割合を数値で管理しています。これにより、患者さんが自身のブラッシングの精度を客観的に把握し、改善への意識を高められるようサポートしています。また、鏡を使いながら歯磨きの方法を具体的に指導することで、どの部分を重点的にケアすべきかを明確に理解していただけます。   検査の結果、口腔内の状態が良好な場合はその維持方法を、改善が必要な場合は次回の検診までに取り組むべきポイントを丁寧にお伝えします。   さらに、当院には日本歯周病学会認定認定医が在籍しており、歯周病の予防・治療に幅広く対応しています。初期のケアはもちろん、進行した歯周病の専門的な治療にも対応しておりますので、不安やお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

            まとめ

            歯周病は大人の約8割がかかるとされる一般的な疾患です。「歯の病気」と甘く考えて放置すると、歯を失うだけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。 毎日の正しい口腔ケアと定期的な歯科検診の受診によって、積極的に予防しましょう。 また、歯周病は早期発見・早期治療も重要です。その意味でも定期的に歯科医の診察を受けることは大切といえます。自分の歯と全身の健康を守るためにも今日から正しいケアを始めましょう。

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            日付:  カテゴリ:歯周病